2011/05/29
ケーブルや機材の比較試聴のコツ②

前の記事 『ケーブルや機材の比較試聴のコツ①』 の続きです。
今回はアーティストやクリエーターがケーブル等の比較試聴する時の、
コツや注意点を書いてみたいと思います。
まずアーティストやクリエーターがケーブル等を比較試聴する時、
自分で作った作品で試聴することが多いと思います。
特に録音やMIXまで自分で行った作品の場合、音の全てに関わっているので、
定位やエフェクトはもとより、楽器の音も自分が聴き慣れているわけです。
これを比較に使うのは非常に理にかなっている様に思えますよね。
しかし、そういったメリットもありますが、
自分の音源を比較試聴に使う事によるデメリットも多々あります。
デメリットが分かっていれば、自分の音源も比較に上手く使っていけるので、
自分の音源を比較用音源に使う際のデメリットを書いてみようと思います。
●以前使っていたケーブルで良く聴こえてしまう
これは良く考えれば分かる事なのですが、何気なく試聴していて、
意外に気がつかない人が多いです。
例えば、再生機(オーディオインターフェイスでもCDでも何でも)から、
スピーカーに繋いでいるケーブルを色々試すとします。
今まで仮にAというケーブルを使っていて、新しくBを試す場合に、
自分の音源で試聴すると大体はAの方がいい感じに聴こえる事が多いです。
これは良く考えれば当たり前で、今までの自分の音源は、
Aケーブルを通った音を聴いてMIXしているからなんですね。
それは 『Aケーブルを通った状態で良い音になるように作られた音源 』ともいえるからです。
※ですので、自分の音源を他スタジオなどでMIXしている場合は問題ないです。
仮にAケーブルが少し低音が出やすいケーブルだったら、
MIXする時は少し低音が足された音をモニターしてMIXする訳です。
なので、そのモニター環境で良いバランスにMIXできたとすると、
普通より低音がすこし少なめな音源に仕上がる事になります。
その音源をBケーブルで聴いたとします。
仮にBケーブルがちょうど良い周波数バランスのケーブルだったとしても、
その環境でMIXした音源を聴いた時には『ちょっと低域が痩せるなぁ~』、
っといった聴こえ方になってしまうんですね。
この場合に、正確に判断する方法はいくつかあります。
まず一番手っ取り早いのは『自分の音源を使わない』事ですね…(笑)。
ちょっと安易ですが、質のよい音源を使えば確実な解決策ではあります。
次に自分の音源を使って正確に判断する方法もあります。
それは少し時間がかかりますが、各々のケーブルを使ってMIXし直してみる事です。
DAWソフトを使ってMIXしている場合でしたら簡単に試せると思います。
コツは、今までのMIXから少しだけ何も処理していない状態に戻したファイルを一度作り、
各々のケーブルを使って、そのファイルからスタートしてMIXをやり直してみます。
※例えば、EQとコンプの設定のみ全てフラットに戻してMIXしなおしてみる。
こうすれば1からやり直すほど時間はかかりませんが、ちゃんと違いは出ると思います。
そして各々のケーブルでMIXしたものを色々な環境で聴いてみるのです。
友達の家、クラブのPAで、車の中等…。
そうすると色々とケーブルの特性が分かってくると思います。
基本的には、色々な環境でもMIXのイメージがあまり崩れなければ、
そのケーブルはフラット目だという事が分かります。
これにさらに市販の質の良い音源も試聴に加えれば、
より正確なケーブルの音の癖が分かってくると思いますよ。
今回は自分の音源を比較音源につかう時の『デメリット、注意点』を書いてみました。
次も比較試聴時の他のコツについて書いてみようと思っています。
それでは。